概要

発明創造の支援を具体的にはどのようなプロセスで行うか

以下の図は、現状における発明創造のプロセスを示しております。

ある技術上の問題点があった場合には、個人の創造力をフルに発揮させて、その問題点を解決可能な発明の具体的な構成を考え出していきます。この発明の創造は、従来より個人の経験とスキルに依存する割合が高く、ベストな解決策に到達するまで試行錯誤を繰り返すのが現状でした。

発明創造の支援は、この特定の問題から具体的な発明の構成に至る試行錯誤のプロセスをアシストするイメージです。
先ず、②の一般的な解決課題等を始めとする状況整理項目と、これに対する一般的解決策をデータとして集めます。

このデータはTRIZや等価変換理論等を始めとした公知の一般的解決策や、特許公報等を中心に広範囲に亘り収集します。次に、このデータを人工知能(AI)により学習させます。これにより、解決課題が入力された場合に、AIにより自動的に解決策が出てくるシステムが構築されることになります。

実際にこのようなシステムを利用して発明創造を行う場合には、その創造対象における特定の問題を②における状況整理項目に対応させる形で抽象化します。つまり特定の問題を状況整理項目に見合うように再定義します(以下の①のプロセスになります。)
 次に上述したAIを利用したシステムに、この再定義した問題を入力することにより、一般的解決策がAIにより自動的に出力されます(以下の②のプロセスになります。)。
更にこのAIにより出力された解決策をヒントにし、今回の特定の問題に対する具体的な発明の構成のアイデアを出していきます(以下の③のプロセスになります。)
 ②のプロセスにおいてAIによりシステマティックに数多くの解決策が出てきますので、それを今回の問題や状況に変換して発明をブラッシュアップしていきます。このため、試行錯誤により創出される発明の構成の素晴らしさとは別の観点から見て良質の発明を、数多く、しかも短時間に創出することが可能となります。②のプロセスに加え、①のプロセス、③のプロセスもAI化していくことで、特定の問題から具体的な発明の創出までを全てAIにより自動的に創造することができます。つまり①課題の本質を分析する、②本質化された問題の一般的解決策を提案する、③発想した多くの一般定解決策からコンセプトにまとめ上げる ところまでは全てAIで自動的に行うことをめざしていきます。


なぜ、人工知能を発明創造の支援に活用するのか?

人工知能は、決められた手順に基づき処理を実行するだけのコンピュータプログラムとは異なり、大量のデータを学習して推測や判断の力を成長させることができます。
人工知能技術は従来から知られていましたが、近年において急激に進化してきました。その理由としては、コンピューターの性能向上、機械学習やディープラーニング等の基盤技術の進歩、更にはIoT、ビッグデータの進展により学習可能な情報の量が急激に増加したこと等が考えられます。この進化してきた人工知能を本コンソーシアムの目標達成のため使わない手はありません。
 但し、この人工知能はいくら進化したといっても、決して万能なツールではありません。特に人工知能は、人間のような感情を持つことは未だ実現できていないといわれております。例えば、文学作品を人工知能に解読させても、その文脈から現れてくる深い意味、感動、喜怒哀楽までは完全に理解することができないそうです。囲碁や将棋等のような決められたフレーム、ルール内での勝負となれば、人工知能は既に人間を凌駕しているのに対して、このような文章の背後にある感情を含むメッセージを洞察することに関しては、まだまだ人間には及ばないのです。だから人工知能は、東大入試問題に対して合格点まで到達しないのです。
 しかし、文章に描かれる深い思想や感情までは人工知能により完全に理解することができないにしても、人工知能が発明創造支援を行っていく上で必要な知識は、技術的知識と論理的思考力で構成された情報を読み解いていくことで実現できるので、決して不可能なことではないと思います。特に本コンソーシアムでは、人工知能に膨大な特許情報を学習させます。人工知能はそこに記載されている発明の目的や解決課題、効果、解決手段ひいてはその背後に隠されている解決コンセプトやその技術思想までを理解していくことをめざしていきます。これは決して現在の人工知能技術において不可能なことではなく、研究を重ねれば近い将来必ず実現できるのです。
 本コンソーシアムでは、人間が英知と時間をかけて体系理論化された発明完成プロセスに最大限の敬意を払い、これが記載された特許情報を徹底的に人工知能により学習させ、世界初の発明創造支援システムを構築してまいります。